~いま私たちにできること~ vol.1 「うちは普通だから大丈夫」が一番危ない理由
「相続」という言葉を聞いて、自分には関係ないニュースの中の出来事だと思っていませんか?
「うちは資産家じゃないし」「家族仲がいいから揉めるはずがない」。
実は、そう考えている方にこそ、知っておいてほしい現実があります。
FP(ファイナンシャル・プランナー)チームが贈る連載第1回は、相続を「他人事」から「自分事」に変えるための最初の一歩です。
1. データが語る「普通の家庭」のピンチ
「相続争いなんて、お金持ちだけの話でしょ?」
そう思われがちですが、裁判所に持ち込まれた遺産分割事件のデータを見ると、意外な事実が浮かび上がります。
なんと、もめているケースの約75%が「遺産額5,000万円以下」の家庭なのです。
なぜ、資産がそれほど多くなくても揉めてしまうのでしょうか?
それは、「分けにくい財産(例えば、不動産)」が資産のメインであることが多いからです。
1億円の現金なら1円単位で分けられますが、3,000万円の「家」をきれいに分けるのは至難の業。
「誰が住むのか」「売るのか」で意見が食い違い、そこから長年の感情が爆発してしまう……これが「普通の家庭」で起こる相続トラブルの典型的なパターンです。
2. 「うちは大丈夫」を脅かす3つのリスク
準備を後回しにしていると、いざという時に残された家族に次のような大きな負担がかかります。
亡くなった事実が銀行に伝わると、口座は一時的にロックされます。葬儀費用や当面の生活費が引き出せず、家族が困り果てるケースは少なくありません。
借金や連帯保証人の立場も相続されます。これに気づかず放置すると、家族が多額の負債を背負うことになりかねません。
経営者の方の場合、自社株の行き先が決まっていないと、会社の意思決定ができなくなり、従業員や取引先に多大な迷惑をかけます。
3. 相続対策は「家族へのラストレター」
「相続対策」と聞くと「節税(税金を安くすること)」ばかりが注目されますが、FPが考える正しい優先順位は異なります。
合法的に残せる資産を増やす
税金や葬儀費用を現金で用意する
家族の絆を壊さないための準備
▲ 一番重要で大きな土台は「もめないこと」です ▲
一番大切なのは、残された家族が明日からまた笑顔で暮らせるように道筋を作っておくこと。
相続対策は、あなたが家族に贈る「最後の思いやり」なのです。
最高の相続対策は、立派な遺言書を書くこと……の前に、実は「家族で楽しく食事をしながら、将来の話をしてみること」だったりします。
日頃のコミュニケーションこそが、最大の防御策です。