CONTENTS コンテンツ

親の介護、いつから準備する? FPが教える介護費用捻出の3つのステップ


「親の介護、うちにはまだ関係ないかな…」そう思っていませんか?

実は、介護はいつ、どんな形で始まるか予測が難しいもの。いざその時になって慌てないためにも、元気なうちから準備を進めることが何よりも大切です。

今回は、ファイナンシャルプランナーの視点から、介護の「準備」「対策」「対応」の3つの段階と、具体的な費用の捻出ステップについてお話しします。


ステップ1:【準備】漠然とした不安を「見える化」する

介護への備えは、まず「準備」からスタートです。多くの方が「漠然とした不安」を抱えていますが、それを具体的にしていくことが第一歩。

1. 介護にかかる費用を把握する

介護には、自宅介護か施設介護かによって、またサービスの利用頻度によって大きく費用が変わります。

例えば、生命保険文化センターの調査によると、介護にかかる費用は平均で月額約8.3万円、一時的な費用(住宅改修や介護用ベッド購入など)は平均で約74万円とされています。さらに、介護期間は平均で約5年1ヶ月というデータも。

これらを合計すると、一人あたりの介護費用は約570万円にもなる可能性があります。もちろん、これはあくまで平均値。個々の状況によって大きく変動します。

2. 親御さんの年金額を明確にする

次に大切なのが、親御さんの年金額を正確に把握することです。介護費用を捻出する際、年金収入が大きな柱となるケースがほとんどだからです。

「親の年金、実際いくらもらってるんだろう?」そう思った方は、ぜひこの機会に親御さんに尋ねてみましょう。そして、可能であればその金額をお子さん(あなた)にも伝えてもらいましょう。これにより、将来的な資金計画が立てやすくなります。

年金だけでは不足する部分を、どう補っていくのか、具体的な検討を始めるきっかけになります。

特に、両親のどちらかが、すでにお亡くなりになった方は、遺族年金額により、夫婦二人のときの年金額と大きな乖離がある場合があり、注意が必要です!!


ステップ2:【対策】お金の置き場所と役割分担を明確にする

漠然とした不安が見えてきたら、次は具体的な「対策」を講じる段階です。ここでは、お金の準備だけでなく、「誰が」そのお金を管理し、介護を担うのかを明確にすることが非常に重要です。

1. 介護資金をどこに準備するか?

介護費用は、親御さん自身の貯蓄や年金が基本となります。しかし、それだけでは足りない場合も少なくありません。

  • 親御さんの貯蓄: 定期預金、普通預金、退職金など。どこに、いくらあるかを把握しておきましょう。
  • 親御さんの保険: 医療保険やがん保険だけでなく、介護保険特約付きの生命保険などに加入しているか確認しましょう。
  • 家族からの支援: 必要に応じて、子や孫からの経済的な支援も検討する場合があります。贈与税の非課税枠の活用なども視野に入れましょう。

これらのお金を、いざという時に「誰が」「どのように」使える状態にしておくかが肝心です。

2. 介護を「誰に預けるか」を明確にする

お金の準備と並行して、「誰が中心となって介護を担うのか」、**「誰が財産管理を行うのか」**を家族間で話し合って明確にしておくことが不可欠です。

例えば、

  • 介護の中心となるキーパーソンは誰か?(遠方に住む兄弟姉妹との連携は?)
  • 後見制度や家族信託の利用を検討すべきか?
  • どの専門家(ケアマネージャー、税理士、弁護士、FPなど)に相談するか?

といったことを具体的に話し合い、役割分担を決めておくことで、いざ介護が始まった際の混乱を最小限に抑えられます。親御さんが元気なうちに、これらの意思を共有しておくことが理想的です。


ステップ3:【対応】もしもに備える具体的な行動

準備と対策が整ったら、最後は「対応」です。これは、実際に介護が必要になった際にスムーズに動けるようにするための具体的な行動を指します。

1. ケアマネージャーとの連携をシミュレーションする

実際に介護サービスが必要になったら、まずは地域包括支援センターや居宅介護支援事業所に連絡し、ケアマネージャーに相談することになります。

ケアマネージャーは、介護サービス計画(ケアプラン)を作成し、適切なサービス利用へと導いてくれる大切な存在です。どのようなサービスがあるのか、どのような相談ができるのか、事前にパンフレットを取り寄せてみたり、ウェブサイトで情報を集めたりするだけでも、いざという時の安心感に繋がります。

2. 公的支援制度を理解しておく

介護保険サービス以外にも、要介護認定の状況に応じて、医療費控除や高額介護サービス費、特定入所者介護サービス費などの公的支援制度が利用できる場合があります。これらの制度を事前に理解しておくことで、介護費用の負担を軽減できる可能性があります。

3. 専門家へ相談する

介護は多岐にわたる問題が絡み合います。お金のこと、制度のこと、法的なこと…。一人で抱え込まず、必要に応じてファイナンシャルプランナーなどの専門家を頼りましょう。特に、複雑な相続や財産管理が関わる場合は、早めの相談が後のトラブル回避に繋がります。


まとめ:介護は「突然」やってくるもの

介護は、誰にとっても身近な問題でありながら、なかなか具体的な準備が進まないテーマかもしれません。しかし、「いつか」ではなく「今」から行動することで、親御さんにとっても、あなた自身にとっても、より安心できる未来を築くことができます。

「準備」「対策」「対応」の3つの段階を踏まえ、親御さんの年金額を把握し、お金の置き場所と役割分担を明確にすること。そして、もしもの時に備えて専門家を交えながら具体的な計画を立てていきましょう。

親の介護に関するご相談は、ぜひお気軽にお声がけください。