夏休み・お盆のタイミングで家族会議をしよう
「年金を受給している親が亡くなったら、年金は止まってしまうの?」
「自分の配偶者が年金受給中に亡くなったら、もらえるはずの年金はどうなるんだろう?」
そんな疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
年金は、亡くなったご本人だけでなく、残されたご家族の生活を支えるための大切な制度です。今回は、こども世代も知っておきたい、年金受給中の親や配偶者の遺族年金について解説します。

1. 遺族年金は、年金受給中でも受け取れる
年金を受給している方が亡くなった場合でも、残されたご家族が遺族年金を受け取れる可能性があります。
遺族年金には、亡くなった方の年金加入状況に応じて「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。
- 遺族基礎年金
- 亡くなった方が国民年金に加入していた場合や、厚生年金加入者が亡くなった場合に、条件を満たす配偶者や子どもに支給されます。
- 受給できるのは、原則として「18歳未満の子どもがいる配偶者」または「18歳未満の子ども」のみです。
- 亡くなった方が老齢基礎年金を受給していた場合、残された家族が遺族基礎年金の受給要件を満たせば、遺族基礎年金を受け取ることができます。
- 遺族厚生年金
- 亡くなった方が厚生年金に加入していた場合、条件を満たす遺族に支給されます。
- 配偶者や子、親など、受給できる遺族の範囲が広いのが特徴です。
- 年金を受給している方が亡くなった場合でも、遺族厚生年金の受給要件を満たせば受け取ることができます。
2. 自分の年金と遺族年金、どうなる?(併給調整)
最も複雑で、誤解されやすいのが、「自分の年金(老齢年金)」と「遺族年金」を両方受け取れるかという点です。
結論から言うと、原則として自分の老齢年金と遺族年金を全額もらうことはできません。どちらか一方、または調整された金額を受け取ることになります。
【基本的な考え方】
- まず、自分の老齢厚生年金が優先的に支給されます。
- 次に、遺族厚生年金が自分の老齢厚生年金より多い場合、その差額が遺族厚生年金として支給されます。
【具体的な例】
- 自分の老齢厚生年金:年額80万円
- 遺族厚生年金:年額100万円
この場合、まず自分の老齢厚生年金80万円が全額支給されます。そして、遺族厚生年金(100万円)と自分の老齢厚生年金(80万円)の差額である20万円が、遺族厚生年金として加算されます。
結果的に、年間100万円の年金を受け取ることになります。
【注意】
自分の老齢厚生年金の方が遺族厚生年金より多い場合は、遺族厚生年金は支給されません。
3. 親の遺族年金について、こども世代が知っておくべきこと
「年金を受給している親が亡くなった場合、自分は遺族年金をもらえるの?」という疑問もよく聞かれます。
- こども世代が受け取れるのは「遺族厚生年金」のみです。
- 亡くなった親によって生計を維持されていたなど、いくつかの条件を満たす必要があります。
- 受給できるのは、配偶者や子、親、孫、祖父母など、優先順位が高い遺族からです。
もし配偶者(こども世代のもう一方の親)が年金を受け取れる場合、そちらが優先されるため、こども世代が親の遺族年金を受け取れるケースは非常に限定的です。
最後に
年金は、世代や家族構成によって複雑なルールが設けられています。
いざという時に慌てないよう、ご両親やご自身の年金加入状況を把握し、家族で話し合っておくことが大切です。
詳細は、担当FPや弊社へご相談ください。