
現在、2026年度税制改正の最大の焦点となっているのが、いわゆる「103万円の壁」の引き上げです。
これまでの常識だった「103万円」が、一気に「178万円」へと引き上げられる案が議論されており、これが実現すればパート・アルバイトの方だけでなく、すべての会社員・公務員の所得税が安くなります。
FPの視点から、この歴史的な改正が家計に与えるインパクトを深掘りします。
1. 「178万円の壁」の正体と、基礎控除の引き上げ
なぜ「178万円」という数字が出てきているのでしょうか。それは、1995年以来、約30年間据え置かれてきた基礎控除を、その間の最低賃金の上昇率(約1.73倍)に合わせて引き上げようという考えに基づいています。
- 現行: 基礎控除(48万円) + 給与所得控除(55万円) = 103万円
- 改正案: 基礎控除が75万円加算されることで、合計 178万円 まで所得税が非課税に。
これは単にパートの方が178万円まで働けるようになるだけでなく、年収500万円の人も1,000万円の人も、課税対象となる所得が75万円分差し引かれる(減る)ことを意味します。
2. 年収別・手取りはどう変わる?(減税シミュレーション)
基礎控除が75万円引き上げられた場合、実際に私たちが払う税金がいくら減り、手取りがいくら増えるのか。年収別の試算結果を確認してみましょう。

3. 「178万円の壁」のメリットと残る課題
メリット:働き方の自由度が劇的に上がる
これまで「10月頃になると103万円に届きそうだから仕事を休む」という調整をしていた方も、178万円まで枠が広がれば、月平均14万円程度まで働けるようになります。これはパート・アルバイトの方にとって、キャリアアップや収入増の大きなチャンスです。
課題:社会保険の壁(106万円・130万円)は別物
ここで注意が必要なのは、税制上の「178万円の壁」が上がっても、「社会保険の扶養枠(106万円や130万円の壁)」が自動的に上がるわけではないという点です。
- 税金は178万円までかからなくても、130万円を超えれば社会保険料(健康保険・年金)を自分で払う必要が出てきます。
- このため、政府は税制改正と合わせて、社会保険制度についても「年収ではなく労働時間で判断する」ような一体的な改革を急いでいます。
4. まとめ:2026年に向けてFPが推奨する「家計の守り方」
今回の「178万円の壁」への改正は、現役世代にとって、ここ数十年で最大級の所得増(減税)となります。
- 増えた「手取り」を貯蓄に回さない:
物価高対策としての減税ですので、ただ生活費に消える前に、NISAやiDeCo・変額保険など金融商品への積み立て額を「手取り増」の分だけ上乗せすることを検討しましょう。 - 働き方のシミュレーションを行う:
扶養内で働くメリットと、社会保険料を払ってでも178万円以上稼ぐメリットを、改正後の新基準で比較し直す必要があります。
弊社では、今回取り上げた『年収の壁』に対するご相談・ご質問などを承っております。
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