2025年12月に発表された「2026年度(令和8年度)税制改正大綱」では、私たちの暮らしに係わる大事なことがたくさん詰まっていますが、特に影響の大きなものを一つずつピックアップして解説していきます。
「NISAの利便性向上」について、具体的に何が変わろうとしているのか、FPの視点で詳しく解説します。

NISAの「面倒くさい」が解消される?
これまでのNISAは「非課税で投資ができる」という大きなメリットがある一方で、手続きの煩雑さがハードルとなっていました。今回の改正案では、その「不便さ」を解消し、より誰もが利用しやすい制度へのアップデートが図られています。
1. 金融機関の変更が「完全オンライン」でスピーディに
「今の銀行よりも、手数料が安いネット証券に変えたい」
「しっかりと相談できるアドバイザーのいる証券会社に変更したい」と思っても、これまでは窓口に行かなければならなかったり、紙の書類を取り寄せたり、郵送でのやり取りが必要だったりと、数週間から1ヶ月ほど時間を要していました。
☆ここが変わる: マイナンバー情報を活用し、金融機関同士のデータ連携を強化することで、「数日程度かつオンライン完結」で変更手続きが終わる仕組みが検討されています。自分のライフステージやニーズに合わせて、柔軟に口座を乗り換えられるようになります。
NISA口座には「開設から10年ごとに住所や氏名の確認を行う」というルールがあります。転勤などで住所が変わっている場合、手続きを忘れると新規の買い付けができなくなるリスクがありました。
2. 10年ごとの「住所確認」の負担軽減
☆ここが変わる: 公的個人認証(マイナンバーカード等)の活用を促進し、利用者がわ ざわざ住民票を取得したり、書類を提出したりしなくても、自動的に最新の情報が更新 されるような簡素化が進められます。
3. 未成年(18歳未満)への対象拡大への動き
旧ジュニアNISAが終了して以降、子どものための教育資金作りとしてNISAを使いたいという要望が非常に多く寄せられていました。
☆ここが変わる: 今回の改正案では、現在18歳以上に限定されているNISAの対象を、未成年まで拡大する(つみたて投資枠など)方向での調整が進んでいます。これが実現すれば、出産後すぐに「一生涯の非課税枠」を活用した長期積み立てを開始できるようになり、教育資金の準備方法が大きく変わります。
実は重要!「損益通算」の範囲拡大とNISAの関係
今回の改正ではNISAの手続きだけでなく、「金融所得課税の一体化」も議論されています。
これまで、株や投資信託で出た「利益」と、他の金融商品(例えばデリバティブ取引など)で出た「損失」を相殺(損益通算)することはできませんでした。
この範囲が拡大されることで、NISA以外の特定口座などで運用している資産も含めた「全体的な税負担」が軽減される可能性があります。NISAを「核」としつつ、他の投資も組み合わせるハイブリッドな資産運用のメリットがより大きくなると言えるでしょう。
まとめ:制度は「使い倒す」時代へ
2026年度の改正は、NISAを単なる「節税ツール」から、より「日常的に使いやすい財布」へと進化させるものです。
「手続きが難しそうだから」と後回しにしていた方や、子どもの将来のために何か始めたいと考えていた方にとって、2026年は大きな転換点になるはずです。
FPからのメッセージ
税制が簡素化される一方で、選択肢が増える分、「自分にとって最適な金融機関はどこか?」「いくら積み立てるのが正解か?」という判断はより重要になります。
私たちアビリティでは、最新の税制改正を反映したマネープランの作成もお手伝いしています。何をすればいいのか、迷われている方はぜひ一度ご相談ください!