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🔰11月は『年金月間』!

国民が知っておくべき年金の超基本

はじめに

年金制度は、老後の生活だけでなく、現役世代の万が一の事態にも備える「公的な生活保障」です。しかし、「複雑でよくわからない」「将来本当にもらえるのか不安」といった声を多く聞きます。

本記事では、ファイナンシャル・プランニング(FP)の視点から、国民が知っておくべき年金制度の「超基本」を、わかりやすく解説します。


1. 日本の年金制度は「2階建て」構造

日本の公的年金制度は、働き方によって加入する年金が異なる「2階建て」の構造が基本です。

🏠 1階部分:国民年金(基礎年金)

  • 対象者: 20歳以上60歳未満の日本に住むすべての人が加入します。
  • 役割: 老齢、障害、死亡という人生の3大リスクに対する、全国民共通の「基礎」となる部分です。
  • 特徴: 保険料は定額です(年度によって改定されます)。

🏢 2階部分:厚生年金

  • 対象者: 会社員、公務員など、厚生年金の適用事業所で働く人が加入します(同時に国民年金にも加入しています)。
  • 役割: 国民年金に上乗せされる部分です。
  • 特徴: 保険料は、毎月の給与や賞与に応じて決まり、企業と折半して納めます。
種別主な加入者加入する年金
第1号被保険者自営業、フリーランス、学生など国民年金(1階)のみ
第2号被保険者会社員、公務員国民年金(1階) + 厚生年金(2階)
第3号被保険者第2号被保険者に扶養される配偶者国民年金(1階)のみ

2. 老後の年金、実際いくらもらえる?

最も気になる「受給額の目安」について、厚生労働省の最新データを基に見てみましょう。

1. 老齢基礎年金(国民年金)の満額

  • 20歳から60歳までの40年間すべて保険料を納めた場合の満額は、年額約83.2万円(令和7年度・新規裁定者)。
  • これを月額換算すると約6.9万円です。

2. 老齢厚生年金(会社員・公務員)の平均額

  • 老齢基礎年金を含む、厚生年金受給者の平均年金月額は、約14.4万円(令和7年度)。
年金の種類平均受給月額の目安
老齢基礎年金(国民年金のみ)約5.7万円
老齢厚生年金(国民年金を含む)約14.4万円

💡【FPからのアドバイス】

平均受給額を見る限り、公的年金だけでゆとりある老後生活を送るのは難しいと感じる方が大半でしょう。公的年金は「生活の土台」と捉え、不足する部分をiDeCo(イデコ)やNISAなどの「自助努力」で準備することが重要です。


3. 年金は「老齢」だけではない「3つの機能」

年金制度の保険としての役割を理解することで、加入意義を再認識できます。

機能種類目的
老後の生活保障老齢年金高齢期になったときの生活費を給付
病気・ケガの保障障害年金現役世代で病気やケガにより生活や仕事に支障が出た場合に給付
残された家族の保障遺族年金死亡により生計維持者が亡くなった場合に遺族に給付

特に現役世代にとっては、障害年金・遺族年金は、民間の保険に匹敵、あるいはそれ以上の保障となる場合があります。保険料の納付は、これらの「保険」を維持するために不可欠です。


4. ⚠️ もし保険料が払えない場合は?【絶対NGな行動】

経済的な理由で国民年金保険料の納付が難しい場合、「未納のまま放置すること」は絶対に避けてください!

未納のまま放置するリスク

  1. 将来の受給額が減る:未納期間は年金額に反映されません。
  2. 受給資格期間を満たせなくなる:将来、年金を受け取るための加入期間(現在10年)を満たせない可能性があります。
  3. 万が一の保障を失う:未納期間が長引くと、障害年金や遺族年金の受給資格まで失ってしまいます。

賢い対処法:免除・納付猶予制度

収入が少ない、失業したなどの理由がある場合は、市区町村の窓口や年金事務所に相談し、「免除」や「納付猶予」の申請を行いましょう。

  • 申請が認められれば、保険料の支払いが免除・猶予され、将来の受給資格期間が守られます(全額免除の場合でも、年金額計算には国庫負担分が反映されます)。

「払えないから放っておく」ではなく、「払えないからこそ申請する」という意識が非常に大切です。


まとめ:年金制度は「知って活用するもの」

公的年金は、日本の土台となる重要なセーフティーネットです。仕組みを正しく理解し、ご自身のライフプランに合った備えを進めることが、FPとして推奨する第一歩です。

上記の金額はあくまでも平均額を示したものです。
一人ひとり受給できる額は違うため、「年金月間」である11月に、ご自身の年金額をしっかり確認してみてはいかがでしょうか?

弊社のFPは、お客様一人ひとりの将来設計に合わせ、公的年金と私的年金を組み合わせた最適なプランニングをサポートいたします。